理想科学工業株式会社 ー AIチャットボット導入をきっかけにバックオフィス全体のDX加速へ

インタビュイー 

  • コーポレート本部 情報システム部 部長 杖池 雅史様
  • コーポレート本部 情報システム部 IT推進課 課長 伊藤 敦宏様
  • コーポレート本部 情報システム部 IT推進課 中山 滉平様

会社概要

  • 業種    :製造業
  • 事業内容  :プリンター/デジタル印刷機/周辺機器、スクリーン製版機、スクリーンインク・その他印刷関連製品の開発、製造、販売を事業として展開
  • 導入サービス:BEDORE Conversation
  • 導入目的  :バックオフィス全体の問い合わせ管理一元化、および全社の新たな働き方改革に伴うチャットボットの活用

導入前の課題

  • 定型的な問い合わせ対応へかかる工数が多い
  • コロナの影響による電話での問い合わせ対応不可

導入効果

  • 情報システム部から全社への展開実績
  • これまで手作業で残していた問い合わせ履歴が自動で管理画面に蓄積されるようになり工数が削減
  • バックオフィス全体にくる問い合わせが、一つの管理画面上で管理・運用できている
  • 新型コロナウィルス関連のFAQ化、細かいフロー設計による詳細な感染時対応手順の提示

 

会社、ご担当者様の紹介

ー 会社概要について教えてください

理想科学工業株式会社は、終戦翌年の1946年に謄写印刷業として創業しました。現在では、「世界に類のないものを創る」を開発ポリシーとし、独自の製品・サービスを提供しています。

理想科学の主力製品は、高速カラープリンター「オルフィス」とデジタル印刷機「リソグラフ」です。「オルフィス」は、カラーを安く気軽に使ってもらえる高速プリンターです。企業はもとより、学校でも導入され、カラー教材のプリントなどに活用されています。

主に学校市場で活躍する「リソグラフ」は、1980年に誕生。それまでは、謄写版印刷機(ガリ版)や輪転機で先生方がインクで手を汚しながら教材を印刷していました。手を汚さず、コピー機のような使い勝手で印刷できる画期的な「リソグラフ」は日本中の学校に広まっていきました。現在では190以上の国や地域の教育機関、官公庁、企業、コミュニティーなどでご活用いただいています。

これらのペーパーコミュニケーションを支える機器のほか、学習教材「よみとき新聞ワークシート」、連絡アプリ「スクリレ」などのサービスを展開。デジタルコミュニケーションの側面からも教育現場の支援を行なっています。

ー みなさん、どのようなミッション、業務を担っていらっしゃいますか?

杖池様:情報システム部 IT推進課では、全社のDX推進をミッションに様々なソリューションの検討、導入に向けて日々業務に邁進しており、私は本部署で部長を務めています。

伊藤様:同じく本部署で課長として、弊社の作業効率化のためのデジタル推進を進めています。

中山様:私はチャットボット導入という本プロジェクトと、弊社工場のIoT周りを担当しています。

 

コロナによる出社制限で変化した問い合わせ

ー 在宅勤務により「誰にどう質問すればよいかわからない」という社員の不安増幅

杖池様:まず、新型コロナウィルスで働き方が変わる以前から、電話での問い合わせ数の多さは弊社の課題でした。日常的に聞こえてくる電話対応の内容は、例えば「伝票の記入の仕方」のような単純なものが多く対応者がいつも同じ回答をしている状況でした。そういった定型的な質問に対する対応は自動化していきたいと感じていたんです。

そんな中、コロナの影響で働き方が変わり、出社制限によって電話対応ができなくなりました。社員たちも誰にどう質問をしていいかわからない、メールで問い合わせして回答を待つしかない、という状況になり、そのタイミングでチャットボットの導入を急速に進めたという背景です。

伊藤様:在宅勤務の開始によって、これまでなかった「VPNの接続について」のような在宅勤務関連の問い合わせも増えていたので、チャットボットの導入は、まさに今必要だと思いましたね。

ー 定型的な問い合わせに繰り返しかかる対応時間の削減に向けて

伊藤様:杖池がお伝えした「定型的な問い合わせ対応に時間を割いてしまう」ことに加え、当時は非定型な内容の問い合わせに対する回答を、他メンバーに共有できていませんでした。電話の問い合わせに対して全員が一次受付できるような体制です。その後、複雑な内容については各システム担当に引き継ぎをするフローですが、引き継ぎ後どんな回答をしているのか不明なため、情報システム部全体における知識の底上げと対応力の向上が必要な状態でした。これはチャットボットを導入した今でも、引き続き意識的に向き合っていく課題と捉えています。

それ以外だと、導入前は問い合わせ対応の履歴を全件残せていなかったので、その点もチャットボットで解消できた課題でした。

複数社を比較し、日本語理解の精度に惹かれBEDORE Conversationに決定

ー 極めて高い日本語の認識精度、ユーザー・管理者双方の視点から見た使いやすさの観点から、3社比較の末PKSHA Workplaceに意思決定

杖池様:2020年6〜7月頃から、複数社のチャットボットを調査し始め、同年10月頃に御社からお声がけいただき、PKSHA Workplaceのチャットボットについて詳しく話を聞きました。そこで是非使ってみたいと感じ、1ヶ月間のPoCを実施して実際に使い勝手を確認した後、予算を組み、2021年から本格始動したという流れでした。

中山様:そもそも、問い合わせ対応に関するソリューションとして、チャットボットかヘルプデスク系のFAQサイトどちらが適切なのかを最初に検討しました。そこで、世の中の浸透度的にチャットボットの方が導入後社員もすぐに受け入れ、継続的に使っていけるのではと感じ、チャットボットを選択しました。

そして、どのチャットボットを使うか考える際「日本語の認識精度が極めて高い」独自のエンジンを持つBEDORE Conversationが目に留まりました。計3社を比較していましたが、BEDORE Conversation以外は海外のAIエンジンだったため、日本語の表現、言い回し等に対応できるのか不安に感じていた部分もあったんです。

その後PKSHA WorkplaceのチャットボットをPoCで実際に触り、精度はもちろん、ユーザー視点・管理者視点から見た使いやすさという観点でも非常に好評だったので、導入の意思決定をしました。

ー ユーザー視点で感じる細やかな機能が多数

中山様:ユーザ視点では、例えば「サジェスト機能」なんかは非常に良いと感じました。チャットボットに文章を入力していると、入力した単語に関連する登録FAQが予測変換のように表示され、その表示スピードもとても速いため、「どこまで入力すればいいんだろう」と迷うユーザーにとってはとても助かる機能だと感じています。

管理者視点だと、管理画面へログインするとトップページにすぐ利用状況のグラフが表示されるので、直感的にどのくらい使われているのかを知ることができるのはとても分かりやすいです。あとは、FAQ作成や運用のための作業も難しくないので、他部署に横展開するとなった際も、特に質問や不安の声はなく、みんなスムーズに触れています。BEDORE Conversationには多数の機能がありますが、部署によって説明する機能を取捨選択し工夫して展開しているので、難しいという意見はあまりないですね。また、BEDORE Conversationの使い方が詳しく記載されているマニュアルのFAQサイトも非常に便利で活用しています。

 

各システム担当者の声をもとにFAQを作成

ー メンテナンスコストが低くユーザーに検索されるFAQを作成

中山様:問い合わせの自動化において、どの質問をFAQとして登録すべきかという話し合いは非常に大事だったので、各システム担当へのヒアリングはしっかり時間をかけて行いました。それぞれの担当とミーティングをして、そこからFAQの作成を進めてもらい、1〜2ヶ月間で約250件のFAQが完成しました。よくある質問、マニュアル化できそうな内容のものを中心に揃えてもらいました。

その中で、回答が動的に変わってしまうものをどう扱うか悩みましたね。メンテナンス性が上がってしまうと情報システム部の工数がかかってしまうし、一方でユーザーに検索されないものを登録することもできないので、そこのバランスは気にしながらFAQを準備しました。

 

問い合わせログの自動蓄積による業務効率化

ー これまで手動で残していた履歴が全て管理画面で確認可能に

中山様:まず電話以外の新たな窓口として、徐々にチャットボットの認知度や利用率が上がっています。これからも継続的にPRし、チューニングで精度もさらに上げていくことで、目に見える結果が出ることを期待しています。

伊藤様:あとは、管理者視点にはなりますが、これまで一次受付をした際、自身で回答できなかった内容については担当に引き継ぎ別途フォームに履歴を残すという作業がありました。それがチャットボットの管理画面で履歴を全て確認できるので、そういった手間もなくなり、業務が効率的になっていると思います。

ー 1日10〜15分程度の運用で精度向上へ

中山様:毎日10分〜15分程度確認はしています。弊社の場合、ユーザにFAQを提示した後に表示される「役に立ちましたか?」のアンケート回答率がまだあまり良くないので、回答率をどう上げていくか施策を検討しているところです。チューニングの作業自体は時間をかけずに実施できているので、負担にはなっていないですね。

 

情報システム部からバックオフィス全体への展開

ー 経理部、総務部を巻き込み、FAQを計700件以上登録

情報システム部からスタートし、現在は経理部、総務部で導入が進んでおります。経理部、総務部でも、これまでの問い合わせ内容をふまえ、それぞれで作成を進め導入に至りました。機能説明等は情報システム部からインプットをし、スムーズに公開まで進めることができましたね。

ー 積極的な他社事例の共有で、次ステップのヒントを常に収集

中山様:担当の方が非常に細かく丁寧にサポートしてくれたので、導入が決まってからはとてもスムーズに進められました。あとは、他社事例の情報を教えてくれるので、新しい活用方法やより効率的な運用についてを常にアップデートしていけるのはありがたいです。

運用に関しても、担当の方と一緒にログを見ながら分析したり今後新規のFAQとして追加すべきか気軽に相談できるので、とても助かっていますね。

 

全社的なチャットボットの普及によるDXを目指して

ー 定型的な問い合わせは50%減を目標に

杖池様:定型の問い合わせに関しては50%をチャットボットに対応してもらうという数値目標を立てています。導入前とある部署で問い合わせ対応にかける工数を確認したところ、1週間で40%の時間を対応に当てていたので、そこを20%程度に抑えるのを一つのゴールとしています。

伊藤様:50%削減は決して簡単な目標ではないですが、これまで情報が点在していたものをユーザに正しく認識してもらうことで、ゆくゆくは目指していける目標値だと思っています。

ー 社員の出社状況をチャットボットで確認可能に

また、今後はチャットボットを活用して、社員の出社状況を確認できたら便利だと考えています。出社、在宅勤務のハイブリットな働き方を推進していく上で、社員同士がより効率よくコミュニケーションをとっていけるように、チャットボットへ従業員の名前を入力すると、「本日は出社しています。連絡先はこちら…」のように一目で出社状況と連絡先がわかるような世界観をイメージしています。

ー その他今後の展望や展開予定について教えてください

バックオフィス全体での利活用促進に加え、営業部での導入も進めたいと検討しております。また、ゆくゆくは社内だけでなく、外部向けにチャットボットを通じてお客様マニュアルを展開していくことで、社内外のあらゆる問い合わせ対応を自動化し、関わる全ての方々の工数削減に繋がる未来を想定しています。

最後に一言お願いいたします。

伊藤様:チャットボットの導入前に感じていた課題を全て解決するのは中長期的な話になりますが、スタッフ部門の業務効率化、生産性の向上を図る上で、チャットボットの存在は非常に大きいと感じています。そしてこの導入が良いきっかけとなり、弊社内のデジタル化もさらに加速していけばいいなと思っています。

杖池様:PKSHA Workplaceは新しいことに前向きにチャレンジする会社だと感じています。チャットボットの進化はもちろん、他製品の開発や連携などもどんどん提案してほしいですね。末長くお付き合いしていければ嬉しいです。

中山様:これまでPoC〜導入〜リリースにあたって非常に手厚くサポートいただきました。質問に対するレスポンスも速く、引き続きそのサポート品質の高さは期待しております。今はまだ問い合わせの自動化という大きな目標がありますが、そこで結果を出せれば、今後チャットボットの在り方、用途も変わってくるのではないかと思っています。そのため、新しく斬新なアイディアや情報は常にシェアしていきたいと感じています。

以上、ありがとうございました。