株式会社三十三銀行 - 合併に伴う問い合わせを自動化し、「人の手を使わないDX」の実現 ~ タブレットとPC双方でのAIチャットボットの展開成功事例 ~

インタビュイー

  • 理事 事務統括部長 小西 隆弘様
  • 事務統括部 事務企画課 藤井 智啓様
  • 事務統括部 事務企画課長 丸井 康充様
  • 事務統括部 事務企画課 企画役 鈴木 直樹様
  • 事務統括部 事務指導課 板倉 文子様

企業概要

  • 業種:    銀行
  • 事業内容:  銀行業
  • 導入サービス:BEDORE Conversation
  • 導入目的:  問い合わせ数の削減とFAQデータ蓄積

課題

  • 銀行合併による問い合わせ急増
  • データが蓄積されない電話対応への課題感

効果

  • BEDORE Conversationを通じた自己解決率80%
  • FAQデータの蓄積の実現
  • 営業店の生産性向上

合併に伴う問い合わせへの対応手段としてBEDORE Conversationを検討

―皆様の部署の役割について教えてください。

小西様:三十三銀行は三重県四日市市の地方銀行で、三重銀行と第三銀行が合併する形で2021年5月に発足しました。
「地域のお客さまから愛され信頼される金融グループとして、地域とともに成長し、活力あふれる未来の創造に貢献します。」という経営理念のもと、地域に根ざした圧倒的なリレーション構築と多様なソリューション提供を実現すべく、日々邁進しています。

事務統括部は、銀行の事務全般にわたる企画・指導を行う部署で、合併以降は行内の事務を統一し、早期に定着させることを最大ミッションの一つとして掲げています。

また、業務効率化に資するデジタル化推進も私たちのミッションです。私は、そうした事務統括部のミッションを達成すべく、部全体を統括する責任者として業務に取り組んでいます。

藤井様:私は、デジタル化推進チームをリードするチームリーダーとして、デジタル技術を活用した業務効率化施策の企画を行っています。

RPA、AI、OCRといった技術を活用した企画推進する中で、今回はBEDORE Conversation導入に挑戦しました。

鈴木様:私は、事務企画という立場から、新銀行のルール作りや課題に対する改善策の検討などに携わっています。
今回のプロジェクトの根幹となるFAQに直接関わる部署でもあるので、プロジェクトに対する期待はとても高かったですし、今後より良いサービスに育てていこうという意気込みも感じています。

板倉様:私は、事務指導課に所属しており、営業店からの問い合わせや、研修、新入行員の育成などの業務に携わっています。
こうした業務背景から、BEDORE Conversation導入時のサポートとして参画させていただいております。

丸井様:私はミッション実現のための全体的なサポートにあたりました。メンバーが困っていることがないか確認しつつ、他部署との接点を結び、プロジェクトの潤滑油のような役割を果たしていたかと思います。

―BEDORE Conversation導入の背景を教えてください。

藤井様:合併に伴う営業店からの問い合わせの急増が、BEDORE Conversation導入を検討したきっかけです。
はじめは一時的なヘルプデスクを設置して問い合わせに対応していましたが、時間外業務が増えるだけでなく、一定期間を経ても問い合わせが一向に減らなかったのです。

営業店では、本部へ問い合わせしても照会が混雑している、担当者不在等の理由により迅速に回答が得られない、新銀行の事務が定着していないため生産性が低下するなどの課題がありました。一方、私たち本部においては、問い合わせ対応が重なると安定した回答を行うためのリソースを確保しきれず、営業店への回答に時間がかかってしまう、問い合わせ対応に多くの時間を割かれ、注力すべき企画推進が困難になるといった課題がありました。

結果として、人手が不足したまま課題が解決されず、その対策も打てない悪循環が続いていました。

そういった中で私たちが問題解決の主軸に置いたのは、問い合わせ件数の削減、FAQのデータ化とその蓄積、そして営業店内で疑問を自己解決できる基盤構築の3点です。これらを実現するための手段として、BEDORE Conversationが最適だと判断しました。

―BEDORE Conversationに焦点をあてたのはなぜですか。

藤井様:上記のような背景から、事務統括部から率先して施策を打つことで、銀行全体のデジタル化推進や業務改善のきっかけを作りたいと考えていました。
その一歩目として、他の手段と比べて手軽で導入しやすい印象があったことや、今後行内チャットとの連携やRPA活用といった構想にもつなげやすいことなども鑑みて、BEDORE Conversationという結論に至った形です。

小西様:導入を検討する手順としては、各社のツールを比較し、導入メリットなどを大まかにリサーチしました。機能性や強みについて考えながら先行事例を見ていき、改めて活用が重要だという結論に達しました。
FAQを作るのであれば、電話で対応している問い合わせに関してもデータ化しなければなりません。実際に窓口になる営業店へのアプローチも必要が出てきたところで、板倉の指導面からのサポートも大きな役割を果たしました。

板倉様:BEDORE Conversatio導入に至る以前、紙によって蓄積されていた電話による問い合わせ内容について、行内イントラに質問を送ってもらい、回答入力してデータ化するといった取り組みも並行して進めていました。
こうした取り組みの集大成として、BEDORE Conversation導入を迎えたため、非常にスムーズに構築を進められました。

スピーディなリリースを実現した充実のサポート

―BEDORE Conversation導入の選定ポイントを教えてください。

藤井様:選定の際に重視したのは、回答精度、管理画面が使いやすさ、そして導入後のサポートの3点です。

1つめは、回答精度についてです。BEDORE Conversationは採用企業数や活用事例が多く、先行で他銀行の利用例もあったことから、回答精度に対しては信頼感がありました。

2つめは、管理画面の使いやすさについてです。デモ操作画面で実際に操作してみて、システムに触ったことがない人でも容易に操作できることを高く評価しました。専門的知識が要らないということは、日々のチューニングも楽ということです。
非常に操作しやすく、個人的にはユーザビリティに長けていると感じました。こういった実体験から、運用側の定着も見込めると予想ができました。

3つめは、導入後のサポートについてです。導入時のFAQ作成から密にコミュニケーションを取り、丁寧に対話してくださったことが選定の決め手になったと思います。全国の地銀との実績もあることから、これからもサポートしていただけるという安心感があるのも決め手でした。

板倉様:最初は新たなシステムを使いこなせるのか、という不安もありましたが、複数回にわたって導入前の説明機会を設けていただいたことで不安は払拭されました。直感的に理解しやすく使いやすい画面と、丁寧なサポートがあり大変助かりました。

―リリースまでの流れを教えてください。

藤井様:2021年11月に導入を決定し、FAQ作成からエンジン構築までを約3ヶ月で進めました。2022年3月からテストを実施し、3月末に営業店にリリースしました。スピード感のある駆け足でのプロジェクトでしたね。

苦労したのは、FAQ作成と、クラウドサービス導入の工程です。前者に関しては、事務統括部の行員から、初期FAQとして約900件のFAQが集まりました。FAQの内容もさることながら、課を横断しての取り組みとなったので大変価値がありました。

また、後者に関しては、金融業界特有のセキュリティへの配慮が必要なため、リスク管理の徹底に時間がかかりました。

―クラウドサービス導入をクリアできたポイントを教えてください。

金融機関は特殊な事業なので、導入の前例がない中でのクラウドサービス導入はやはり大変でした。過度に情報セキュリティやリスク管理を重視してしまうと、結果としてユーザビリティが損なわれる恐れもあります。例えば、インターネット環境に接続する際にパスワード認証が必要なのですが、クラウドサービスを利用する際に毎度その手間が発生するとなると、今すぐ質問したい場合は煩わしさのようなものが出てきてしまいます。どこを改善すればそういったストレスを解消できるか、議論を重ねました。

結果として、課題を一つずつ丁寧につぶしていくことで、クラウドサービスへの理解が深まり、クリアすることができました。

―質問しやすいBEDORE Conversationにするための工夫はありますか。

藤井様:当行のイメージキャラクターであるポムポムプリンを起用しました。質問者に寄り添った、質問しやすい雰囲気を作るための工夫です。
あまり堅苦しい雰囲気にならないのが選定のポイントでした。行員の中でもポムポムプリンは好評です。

BEDORE Conversation構築いただいた質問者側のインターフェース

銀行全体のDX化に結びつく成果を実感

―リリース後の成果はいかがですか。

藤井様:現在は、主に渉外担当が利用するiPadと、誰でも活用ができる行内イントラでの設置を目指しています。
現状では、iPadでの利用のみにとどまっており、行内イントラへの設置は第二フェーズとして取り組みを進めています。
現行ではiPadでの活用に限定したサンプル値となりますが、現在の自己解決率は70~80%となり、過去の質問総数に占める割合としては、リリース時期1ヶ月で10%程度がBEDORE Conversationへ移行出来ています。

具体的な数字をあげると、電話を除いた事務統括部への問い合わせが月1,500件程度、BEDORE Conversationでフィードバックがあるのが200件程度という数値から算出した概算です。
ここを50%まで引き上げていくのが、今後の目標です。

鈴木様:緊急性の高い問い合わせについては電話、それ以外はBEDORE Conversationで、と問い合わせの棲み分けができたのも成果のひとつかもしれません。
また、問い合わせ内容の傾向を把握することで、事務企画課が今後打ち出すべき施策のヒントを得る仕組みもできました。

今回のプロジェクトは本部が主導して進め、期待していた成果を得ることができ、ある種の達成感がありました。
BEDORE Conversationへの取り組みは表面的には営業店の課題解決の手段ですが、本部にとっても価値の高いものでした。今後も活用し続けることで精度を高めていき、インフラとして定着させていきたいと考えています。

―BEDORE Conversationの活用で大切にされていることを教えてください。 

丸井様:BEDORE Conversationで対応できることに興味を持ち、問い合わせをいただけることが増えてきました。
これが広まり、銀行全体にBEDORE Conversationが普及していけばいいな、と考えています。

藤井様:一問一答でクリティカルに疑問を解決できるよう意識しています。
「あとはここを参照してください」という終わり方にならないよう、なるべく問い合わせと回答を分解し、簡潔になるような構成になるよう努めています。

―今後の展望をそれぞれのお立場から教えてください。

丸井様:銀行業はお客さまとの対話に力を注ぐべき仕事です。だからこそ裏側のコスト削減を徹底し、最少人数で最大限のサービス提供を実現できる仕組みを作ることが大切です。
今後もBEDORE Conversation活用を通じ、人の手を使わないDXを目指します。

板倉様:私の立場としては、まず営業店の皆さんにBEDORE Conversationを定着させること、その利用を拡大させることが当面の目標です。お客さまをお待たせしてしまわないよう、より質問に早く対応できる状態を作っていきたいです。

鈴木様:BEDORE Conversationを育て、気軽に質問できる「先輩」のような身近な存在にしていきたいですね。これからは定着から改善のフェーズへと変化していくことも見越しつつ、きちんとデータを管理し、最新技術を取り入れながら利活用を続けていきます。

藤井様:今回の取り組みを通じ、私たちがミッションに掲げる業務効率化に対して確かな成果が得られました。これからもさまざまな挑戦を重ね、コスト削減や最適化に寄与していくと共に、私たちの働きを周知していくことで、DXに対する前向きなマインドを銀行全体に広げていきたいです。

小西様:昨今、お客さまの多くは手続きに行かなくてもいい利便性を求めています。支店の窓口以外でお客さまと銀行をつなぐコミュニケーションツールとして、BEDORE Conversationは重要な役割を担うことができると感じました。
銀行全体としては、お客さまに選ばれる銀行であり続けるために、今後も一体感をもって新たな取り組みに挑戦していきます。

以上、ありがとうございました。