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投稿者: bedore_admin

株式会社NTTドコモ ― 【事例本編】キーワードマッチング型チャットボットからリプレイス、1,000件を超えるFAQに対応し自己解決率30%向上

株式会社NTTドコモ マーケティングメディア部 ポータルビジネス担当 梅村 昇平氏
ドコモ・サポート株式会社 スマートライフビジネス支援部 AI支援担当 石川 一美氏

企業概要
〔業種〕IT・通信
〔事業内容〕携帯電話サービス、光ブロードバンドサービス、コンテンツ配信、システム開発・販売・保守受託など
〔導入サービス〕BEDORE Conversation
〔導入目的〕FAQの精度向上、運用コスト削減

課題
・中期経営戦略に基づき、AIエージェントの活用が急務
・自己解決率向上のためのFAQ数の追加
・チャットボット運用工数の削減

効果
・AIエージェントの精度向上による顧客利便性の向上
・2~3人月におよぶ大幅な運用工数削減
・30%を超える自己解決率向上

>>NTTドコモ様運用詳細編の記事はこちらから

NTTドコモが掲げるライフスタイル革新の中核的事業

―NTTドコモのビジョン、ミッションは?

梅村様 当社は「新しいコミュニケーション文化の世界を創造する」というビジョンを掲げ、
2017年に中期戦略 2020「beyond 宣言」を定め、その実現に向けて2018年に中期経営戦略の中で6つの「beyond宣言」を掲げました。そのひとつが「スタイル革新宣言」です。「empower+d challenge(エンパワードチャレンジ)」という全社プロジェクトで手掛ける9つのライフスタイル革新のひとつとして「AIエージェント」に力を入れることを決めました。

―「スタイル革新宣言」における、AIエージェントの位置づけは?

梅村様 当社のビジョンや中期戦略を実現する上で、非常に重要な位置づけを担っています。2018年にスタートしたAIエージェントサービス「my daiz™(マイデイズ)」は、新しいコミュニケーション文化の創造に大きく寄与しています。

従来、通信業界のビジネスモデルは携帯電話の契約者数が重視されてきましたが、既に大手通信キャリアは日本の人口を超えるほどの契約者数を抱えています。飽和した市場の中で、ドコモは回線契約をベースとしたサービスだけではなく、回線契約を持たないお客さまでもdアカウントを取得すればご利用いただける、会員サービスの拡充を推進しています。

そのサービス拡充の方向性のひとつが、スタイル革新であり、「my daiz™」というサービスです。私たちはその対話AIエージェントの構築・整備を担当しています。

―現在、お2人はどのような業務を担当していますか。

梅村様 私はマーケティングメディア部のポータルビジネス担当という部署に所属し、NTTドコモのポイント会員組織である「dポイントクラブ会員」向けのメディア運営に携わる業務を行っています。「my daiz™」もお客さまが接するメディアのひとつという位置づけです。

「my daiz™」では「対話」部分を担当し、月々の請求金額やdポイントの残高、それに加えてFAQなどの問い合わせに応答するチャットボットなどのソリューション全般を担当しています。

石川様 私はドコモ・サポートというグループ会社に所属し、インフォメーションセンターやオンラインによるカスタマーサポートを担当しています。

現在は「サービス支援」という役割を担い、「my daiz™」のチャットボットの運用、シナリオ・動線設計、FAQ管理などを担当しています。

1,000問以上に及ぶFAQの精度向上が鍵に

―BEDORE Conversation導入前に抱えていた、「my daiz™」の課題についてお教えください。

梅村様 BEDORE導入前から「my daiz™」には既存のチャットボットが搭載されていました。しかし、既存のチャットボットはFAQの数を一定数まで増やすと、回答精度が下がってしまうという課題を抱えていました。

当時300問程度のFAQが搭載されていましたが、当社が必要とするFAQ数としては全く足りていませんでした。

石川様 実はNTTドコモ全体で、10,000件以上のFAQが存在します。公式のFAQだけで1,000問近く、それに加えて「d払い」「dポイントクラブ」などサービスごとに各100~200問のFAQが存在していました。

また、既存のチャットボットはFAQの数が増えるほど、FAQ追加やメンテナンスの工数が増大する課題がありました。

―カスタマーサポート全体としては、どのような課題がありましたか。

梅村様 これまでわからないことがあった際、ドコモの公式サイトに掲載されている「よくあるお問い合わせ」ページや、コールセンターに電話をかけて解決するお客さまが大半でした。そこに、AIエージェントで問い合わせに答えられるようになれば、新たな問い合わせ窓口ができるに等しく、より多くのお客さまに対応できるようになると考えました。

導入前の検証で大幅な精度向上と工数削減を確信

―新たなチャットボットを選定する上で、どのような点を重視しましたか。

梅村様 まず当社のニーズに合う3社のチャットボットを候補に上げました。そして、チャットボットの回答精度、チューニングやメンテナンスに必要な運用工数、運用含めたトータルコストの3点を軸に比較検討しました。回答精度の比較においては社内でユーザーテストを行い、リアルな回答精度の比較を行いました。

石川様 BEDORE導入前のチャットボットはキーワードマッチング型でした。一般的にキーワードマッチング型では、大量のFAQを追加し新しくFAQを追加した際に他の質問文に干渉して精度が低くなる傾向があります。BEDOREは機械学習型のため、キーワードマッチング型の課題をシステム側ですべて調整してくれるため、大幅に工数が抑えられる期待が持てました。

実際に運用を行う私たちのチームは、派遣社員3人、社員2人で構成されています。どのメンバーもこの業務に関わるようになってはじめてチャットボットの勉強をした者ばかりで、エンジニアではありません。BEDOREの管理画面では、運用やチューニングに必要な要素が全て整理されているため、そうしたメンバーでも使いこなせそうだと感じました。

梅村様 大量のFAQを登録するという条件のもとでは、BEDOREの精度は既存チャットボットより非常に高く、さらにコストの観点でも、ライセンス料金と運用工数を合計した総コストが最も低いことが明確になりました。これが決め手になり、BEDOREの導入を決定しました。

―回答精度の比較では、どのようなユーザーテストを行いましたか。

梅村様 チャットボット業務に携わっていない40人の社員をピックアップし、ユーザーテストを実施しました。具体的には、BEDOREのチャットボットが様々な言い回しの質問に正しく回答できるかについて、性能評価を行いました。

石川様 ユーザーテスト参加者には、登録されているFAQの質問文に対して、様々な言い回しでテストユーザー1人につき10回ずつ質問を投げかけてもらいました。

例えば、携帯電話が故障した、というシチュエーションなら「携帯電話、故障した、補償使える?」「修理するにはどうすればいい?」といった、登録していない質問文をあえて投げかけてもらうようにしましたね。

ほんの1週間ほどのユーザーテストでしたが、BEDORE Conversationの精度が大幅に高いことが実証されました。まったくチューニングしていない初期状態でも88%の回答精度、その後チューニングした結果、99%まで回答精度を向上できたため、自身を持ってお客さま向けにリリースできました。

BEDORE Conversationを多様なサービスに展開

―現在、BEDOREの対話エンジンをどのようにご活用いただいていますか。

梅村様 導入当初はドコモホームページに掲載されている公式FAQに応答できるチャットボットとしてスタートしたのですが、現在は「d払い」や「dポイントクラブ」、契約内容の変更手続きを行う「オンライン手続き」のサイトなどに関する問い合わせに応答できるよう拡張しています。また、このチャットボットを様々なサイトからも同時にアクセスできるよう様々な場所にリンクを設置しています。精度の高いBEDOREのチャットボットを有効活用して、少ない工数でより多くのお客さまのご要望にお応えできる体制を整えています。

―導入する際も、スムーズに進めることができましたか?

石川様 導入からオンボーディングに至るまで、BEDOREの方々のサポートが万全だったことが特に印象的です。

導入する際は、もともと300問ほどあったFAQを、720問に増やしました。最初に導入する際、720問のFAQをすべてBEDOREのコンサルタントにお渡しして、すべて初期チューニングしていただいたため、私たちが手を動かす必要はほぼありませんでした。今では1,000問を超えるFAQを取り揃えることができています。

導入時は、FAQの整備と同時に社内のセキュリティ診断を通さねばなりませんでしたが、その回答作成や書類整備も、BEDOREのコンサルタントのみなさんが全面的にバックアップしてくださいました。そのおかげで、通常3カ月かかるセキュリティ診断のプロセスを、1カ月足らずで進めることができました。

「my daiz™」とBEDORE Conversationのシステム連携についても、様々なWeb APIの仕様書が用意されており、BEDOREのエンジニアの方々から手厚い技術サポートをいただきました。その結果、導入決定からリリースまで3カ月足らずで進めることができました。

―導入後の効果はいかがでしたか?

石川様 チャットボットのKPIとして自己解決率50%を目指して運用していましたが、BEDOREにリプレイスする前は達成が難しい水準でした。しかし、BEDOREを導入してすぐに70%を達成し、いまではチューニングの結果、83%まで自己解決率を高めることができています。

更に運用工数が劇的に減少していまして、リプレイス前と比べると2〜3人月の運用工数削減に至っています。

>>NTTドコモ様運用詳細編の記事はこちらから

梅村様 導入後も、速いペースで機能追加がされています。当社のリクエストだけでなく、BEDOREを利用している他社のリクエストで便利な機能が追加されていくのも、SaaSならではの利点だと感じます。

―今後の展望は?

梅村様 私たちの部署で活用した実績が評価され、他部署からもBEDOREのチャットボットを使ってみたいというオーダーがたくさん寄せられています。

コールセンターを管理しているフロント支援部という事業部で、BEDOREのチャットボットを導入することが決まりました。他部署に広げていくためにも、チャットボットのみならず、コールセンターの負荷が軽減できた、着電数を減らすことができたといった副次的な効果も見ていきたいですね。

チャットボットで解決しきれない質問をいだたいた場合は、シームレスに有人チャットへ接続する体制も整えたい。最終的には、カスタマーサポートのDXを実現し、有人チャットとAIによるチャットボットのハイブリッド型カスタマーサポートを実現したいと考えています。

<6/29開催ウェビナー> 受注系・受付系ボイスボットのはじめ方、育て方

ボイスボットエバンジェリストであるハルメク・ビジネスソリューションズ 山口様をお招きし、受注系・受付系の自動応答化で失敗しないために考慮すべきポイントをお伝えします。

<6/24 13時開催ウェビナー> 第一生命保険様の事例に学ぶ-月間20万件の問い合わせを自動化した「チャットボット対話エンジン」DX戦略

2021年6月24日(木)に株式会社BEDORE、SCSKサービスウェア株式会社の共催で、コロナ渦でDX推進成功を収めた第一生命保険株式会社様をお招きし、「金融×DXの成功企業に学ぶ、失敗しないデジタル施策とは」をテーマにウェビナーを実施いたします。

<6/3開催ウェビナー> 導入実績10社以上のコンサルタントが語る「音声対話AI 導入成功の秘訣」

音声対話エンジンの情報収集中・ご検討中の方必見のセミナーを開催いたします。

<5/27 15:40講演> Next Contact Center Summit 2021 Springで弊社小島が登壇いたします

当社カスタマーサクセス マネージャーの小島が、2021年5月26-27日に株式会社リックテレコムが主催する「Next Contact Center Summit 2021 Spring」において登壇いたします。

株式会社ジェーシービー ― 対話ログでいち早くお客様の声を察知、各サポートチャネルにおける顧客対応を改善

株式会社ジェーシービー
コミュニケーション本部 コミュニケーション企画部 次長 棗 満佐子氏
コミュニケーション本部 コミュニケーション企画部 支援推進グループ 千葉 成次氏

企業概要
〔業種〕クレジットカード
〔事業内容〕クレジットカード業務、クレジットカード業務に関する各種受託業務、融資業務、集金代行業務、前払式支払手段の発行ならびに販売業およびその代行業
〔導入サービス〕BEDORE Conversation
〔導入目的〕お客様の自己解決リソースの拡充、お問い合わせ対応の自動化

課題
・増加するお問い合わせへの自動対応
・自己解決できるお問い合わせチャネルの追加

効果
・電話を好まないお客様が自己解決できるサポート窓口の拡充
・突発的な問い合わせ増が発生した際、対話ログから素早く状況を把握し対応
・対話エンジンの対話ログからお客様の声を抽出、各サポートチャネルの対応改善

お客様のご要望の多様化に対応したい

―JCBでは現在、どのようなビジョンを掲げていますか?

棗様 当社では、「世界にひとつ。あなたにひとつ。」というブランドメッセージを掲げ、世界で加盟店約3,500万店、14,000万会員以上の方々にご利用いただいています。現在は、2021年度より新しく策定された中期経営計画【Plan 2024】を実現するため、デジタル化やキャッシュレス決済など日々変化するお客様のライフスタイルに応えるサービスを提供することを目指しています。

―お二人はどのようなミッション、業務を担っていらっしゃいますか?

棗様 私たちコミュニケーション本部はコンタクトセンターを運営するコミュニケーション推進部と、Web・紙メディアを制作・運営するメディアデザイン部、そして私達が所属するコミュニケーション企画部に分かれ、お客様とのコミュニケーションをより円滑にできるよう、企画・運営しております。

コミュニケーション企画部では、お客様とのコミュニケーションチャネルにおけるCXの向上を目指し、課題改善策の実行や新たなコミュニケーションツールの導入・設計などを担当しています。具体的には、コンタクトセンターに寄せられたお客様の声の量や動向、およびその内容についてテキストマイニングツール等も駆使して分析し、社内の様々な部署と連携しながら、改善・検証等を実行しています。

千葉様 私のミッションは、自己解決を望むお客様へ、不足なく、わかりやすいコンテンツを提供することです。その中でBEDORE Conversationのメイン運用担当として、チャットボットの整備や管理を担っています。チャットボットに新しいFAQやシナリオを追加し、より的確な回答ができるよう調整することも私の仕事です。

―BEDORE Conversationを導入する前、コンタクトセンターではどのような課題を抱えていましたか?

棗様 チャットボットの導入を検討し始めた2016年当時、お客様の「電話離れ」が進んでいると言われているにも関わらず入電量は減少せず、さらに採用難からコールセンターにおける人材確保が困難、という課題を抱えておりました。

そこで、「電話が減らないのはなぜか」を確認するために、お客様に「困った時の解決方法について」アンケート調査を実施してみると、お客様は事前にWebを調べ、疑問が解決できなかったため、電話でお問い合わせしていることが分かりました。必ずしも電話をかけたくてかけているわけではないのです。

お客様の困りごとを、Webでデジタルに解決するツールを提供できればお客様の満足度向上と入電数の減少につながると考え、チャットボットを検討し始めました。

PoCABテストを実施し、お客様の受容度を確認

―コンタクトセンターの課題を解決するため、どのような基準で対話エンジンを選定しましたか。

棗様 最初は15社ほど幅広に比較していましたが、機能性などの比較でBEDOREともう一社の2つのチャットボットに絞り込み、社内でトライアルしました。トライアルでは、操作方法のチェックから、回答精度、運用のしやすさなどを確認させていただきました。

その結果、チューニングなど運用にかかる工数に大きく差があることが分かりました。BEDOREはもう一社のチャットボットと比較し、10分の1程度の運用工数でメンテナンスできたのです。もう一社のチャットボットは、CSVファイルですべてのデータをダウンロードしてチューニング作業をする必要があるのに対し、BEDOREは管理システム上でクリックしていくだけで運用が可能でした。

―多くのサービスの中から、BEDORE Conversationを選定した一番の決め手は?

棗様 当時はまだチャットボット黎明期だったにも関わらず、機能性が高く誰でも使いやすい管理システムが備えられていたことです。当時は今ほどチャットボットが普及していなかったこともあり、システムやプログラム、チャットボットに精通した人でなければ扱えない製品が多かったようです。

その中で、BEDORE Conversationは抜群の機能性でした。先程述べたとおり、運用性能の良さが際立っていたのです。

―PoCではどのようなことを行いましたか。

棗様 社内でのトライアルを経て、チャットボットの選定はBEDOREでほぼ内定していました。あとはお客様の反応を確認する必要があると感じ、実環境でお客様に実際にお使いいただき、検証を行いました。

1~2ヶ月間の間、ABテストツールを利用して一部のお客様だけにBEDOREのチャットボットを表示し、実践での精度やお客様の受容度合いについて検証を行いました。

その結果、自己解決率は81%を超え、「今後もチャットボットを使いたい」というアンケートに「はい」と答えたお客様も80%を超えました。いずれも当社が事前に決めていたクリア条件を超えていたため、本格的に導入することになりました。

自己解決促進とお客様の声を収集するツールとして活躍

―導入後、BEDORE Conversationをどのように活用されていますか。

千葉様 現在は合計8カ所に設置しています。カードサイトのトップページ、そしてお問い合わせページの2ヶ所が主要な掲載先で、他にもお問い合わせが発生しやすそうなページに選択的に設置しています。

棗様 弊社では、お客様の困りごとに対応するコミュニケーションツールとして、FAQとチャットボットを導入していますが、それぞれのツールを利用されるお客様には行動の違いがある、と考えています。

FAQサイトに来られる方は検索サイトの検索結果から直接ランディングされる方が多いのですが、BEDOREのチャットボットを使う方は、JCBのWebサイトを訪れてから必要な情報を探す際に利用されています。

チャットボットはJCBのWebサイトに来られて、何か情報を探したいお客様に対して、的確に情報を提供して自己解決に導くのに最適なツールだと考えています。

千葉様 お客様の声を拾うツールとしても価値が高いと感じます。FAQサイトだと、お客様がFAQを参照されたことはわかるのですが、具体的にどうして見られたのか理由を読み取ることが難しいのです。

チャットボットの場合、お客様が一度回答を見た後に追加で具体的に「これこれを知りたい」という入力をしてくださるので、お客様の意図の読み取りがしやすいのです。

―導入後、どのような成果が現れましたか?

棗様 カスタマーセンターの呼量はそれほど大きく変わってはいません。しかし、これまで「電話をかけて問い合わせるのは面倒だ」と問い合わせずに離脱していたお客様に対して、問い合わせをしていただける接点を増やすことができたのは大きな効果だと感じています。

チャットボットに入力されるテキストから、お客様の動向を素早くキャッチできるため、新しい問い合わせ傾向の把握や、異常検知にも非常に役立っています。また、テキストデータで蓄積されるため、定性ではなく定量で傾向が把握できることも価値が高いと感じています。

最近では、マイナポイント事業に関する問い合わせが急増しましたが、こうした新しい問い合わせはコールセンターとチャットボット、どちらも同じ時期に増加する傾向があります。しかし、電話でのお問い合わせはテキスト化して分析するまで時間がかかるのに対し、チャットボットはお客様の入力がテキストとして残るので、素早く分析してコールセンターに「こういうマニュアルを追加してはどうか」というフィードバックが可能になります。

千葉様 弊社サイトのページに不具合が発生しているような場合も、お客様が具体的にどのページでどんな問題が起きているか入力してくださるので、問題をいち早く発見し、素早く修正することができます。

―運用面で最も助かっているのはどのようなことですか。

千葉様 お客様の動向をリアルタイムにキャッチアップできることです。

例えば、「マイナポイント事業」への参加を公表後、チャットボットへ様々なお問い合わせをいただきました。事前に、問い合わせが予想される内容については回答を用意していたものの、それら以外にも、多種多様なお客様の関心やニーズがあることがチャットボットとの対話のログからわかったのです。そこで、チャットボットへ回答を追加することで、お客様の自己解決に寄与することができました。

つまり、チャットボットに寄せられる質問の量、内容をチェックすることで、いまお客様が必要としている情報や関心ごと、ニーズを素早くキャッチし、すぐに対応できるようになったのです。これは導入前には気づかなかった大きなメリットで、このおかげもありBEDORE Conversationはいまやなくてはならない存在になっています。ウェブへのアクセスとは違い、チャットボットはお客様の要望がすべてテキストで可視化されます。その結果、リアルタイムで起こっていることを具体的に把握できるようになったことは、非常に意義のあることでした。

毎朝1時間の運用でチューニングが完結

―日々、どのように運用していらっしゃいますか。

千葉様 チャットボットのチューニングについては、日々お客様から寄せられたお問い合わせのうち、正しい答えが返せていない質問を抽出し、正しい回答を紐付けて再学習させることで精度を高めています。正しい答えが返せていない対話、つまり、お客様が「お役に立ちましたか」というアンケートに対して「いいえ」とフィードバックいただいた対話はBEDOREが自動的に抽出してくれるので、クリックベースで正しい回答に紐づけていくだけでチューニングが完結できます。

また、「いいえ」とアンケート回答いただいた対話の中には、回答すべきナレッジが不足しているケースもあります。このような場合、一旦正しい回答との紐付けを保留し、月に一回程度保留した対話を見直しています。そして、一定の問い合わせ数が発生しそうな質問を抽出して新しい回答を追加しています。

BEDOREはチューニングが必要な部分だけを提示してくれるので、毎朝1時間程度その通りに対応するだけで日々の運用が済んでしまいます。

それ以外に、全体の解決率や正答率は日次でチェックして、日報に記録しています。BEDOREのダッシュボードでこれらの数字はすぐに取得できるので、日次でも負荷はありません。

棗様 運用工数が1日1時間程度で済んでいるのは大きいと感じています。BEDORE Conversationは他社の10分の1くらいの工数で済むため、新しいシステムを導入するときにつきものの運用フローが煩雑で結局使わなくなってしまうといった事態に陥らずスムーズにオンボーディングできました。

―今後の展望は。

棗様 BEDORE Conversationの設置場所を増やし、より多くのお客様にご利用いただきたいですね。そして、チャットボットに寄せられるお問い合わせの声をもとにお客様の困りごとやニーズにきめ細やかに対応することを通じて、CX向上に貢献できたらと考えております。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス ― ECサイト「オムニ7」に実装、サイレントカスタマーの離脱防止と問い合わせ数平準化に貢献

株式会社セブン&アイ・ホールディングス
デジタルマーケティング部 お客様サービスオフィサー 佐藤 勝利氏
デジタルマーケティング部 お客様サービス 荒木 智彦氏

企業概要
〔業種〕通販・EC
〔事業内容〕コンビニエンスストア、総合スーパー、食品スーパー、百貨店、専門店、フードサービス、金融サービス、IT・サービスなど
〔導入サービス〕BEDORE Conversation
〔導入目的〕24時間、365日対応、問い合わせ増加時の対応分散

課題
・夜間などユーザーの購買意欲が高まる時間帯の問い合わせ手段拡充
・人気商品発売時や災害時などの突発的な問い合わせ急増への対応

効果
・サイレントカスタマーの離脱を防止
・突発的な電話・メール問い合わせ数急増の平準化
・お客さまからの全問い合わせの3割をチャットボットが対応

ニューノーマルで変化する顧客接点

―セブン&アイ・ホールディングスの掲げるビジョンは?

佐藤様 コロナ禍による社会環境の変化に伴い、withコロナを前提としたニューノーマルな生活様式が定着しつつあります。当社でもデジタル技術を駆使し、買い物から決済までのあらゆるシーンを便利かつシームレスにすべくDXの取り組みに力を入れています。

―中でも「omni7 (オムニ7)」はどのような位置付けですか?

佐藤様 私たちが運営するECサイトオムニ7には、アカチャンホンポからイトーヨーカドーのネット通販までバリエーション豊かな店舗がそろい、文字通り小さな子どもからお年寄りまで幅広い年齢層のお客さまにご利用いただいています。購入層は20~70代、女性ユーザーが多いですね。ライフタイムバリューが長く、生活に寄り添ったサービスを提供したいと日々試行錯誤しています。

―現在、お2人はどのような業務を担当していますか。

佐藤様 私たちが所属するデジタルマーケティング部お客様サービスではオムニ7サイトや各種アプリのカスタマーセンターの運営・管理を行っています。オペレーターの品質チェックや運用見直しによる効率改善、生産性向上に向けたカスタマーセンターで活用するシステムの導入から管理まで担当しています。

荒木様 私はデジタルマーケティング部で導入したシステムの運用を担当し、BEDORE Conversationについては日々寄せられるレポートに対してFAQの修正を行ったり、お客さまの声を取り入れた改善活動を行っています。

―お二方の考える、理想のカスタマーセンターとは。

佐藤様 ただお問い合わせに対応するだけでなく、お客さまの困りごとをいち早く解決し、快適にサービスをご利用いただく環境を整えることです。お客さまの立場に立って対応することで、少しでもお客さまの不満・不安を取り除くことを心がけています。

運用性と拡張性が導入の決め手に

―BEDORE Conversation導入前に抱えていた、カスタマーセンターの課題についてお教えください。

佐藤様 それまで電話やメールでお客さまからの問い合わせを受け付けていたのですが、営業時間外はWebサイトのFAQしかなく、また、話題の商品が発売された時には問い合わせが殺到して対応しきれないことが課題となっていました。さらに、サービス拡充とともにカスタマーセンターの呼量が全体的に増加傾向にありました。しかし、採用、教育、コストなどの問題からカスタマーセンターの人員追加での対応にも限界があります。

また、WebサイトのFAQでは一問一答でしか対応できず、お客さま一人ひとりの困りごとにシナリオ分岐させてお応えすることができないと感じていました。例えば、配送料を知りたいというお問い合わせをいただいた際、同じイトーヨーカドーでも、ギフトや衣料品など幅広い製品を扱うネット通販と、主に生鮮食品を扱うネットスーパーでは配送料が異なります。お客さまが「配送料を知りたい」とお問い合わせくださったときに、「ネット通販ですか? ネットスーパーですか?」とシナリオ分岐させることで正しい答えに導けることもチャットボットを選定する上で重視しました。

―対話エンジンを導入する際、どのようなポイントで検討しましたか。

佐藤様 お客さまが困りごとを素早く自己解決でき、運用する私たちも簡単に使いこなせることを重視しました。もちろん、大量のFAQを読み込めるか、お客さまの質問に精度高く回答できるかということも判断基準としました。

当初10社ほどのチャットボットを検討し、検討ポイントを洗い出して比較表を作成。当社の求める基準を満たすか議論を重ねました。その中で最終的に3社に絞り込み、1週間ずつデモ環境を使わせていただきました。

―最終的にBEDORE Conversationに決定した決め手は?

佐藤様 自信を持って自分たちで使いこなせると思えた運用性能と、段階的にサービス拡充していく上で、有人チャットやLINEへの接続といった拡張性があることが重要でした。

また、ダッシュボードで必要な情報が簡単に閲覧できる一方、CSVで出力したデータを編集・分析し、オムニ7に参画している各社に展開できることも、当社のニーズに合っていました。

24時間対応や夜間売上向上などメリットを訴求、グループ会社と合意形成

―導入後、どのようにBEDORE Conversationを活用されていますか。

佐藤様 2018年7月から導入を開始し、最初はWeb上にチャットボットを設置するところからはじめました。

Web上の設置場所はオムニ7のトップページと、イトーヨーカドーやアカチャンホンポなど各社のトップページです。それからお客さまがお困りになったときの動線であるFAQやご利用ガイドなどにも掲出しています。

佐藤様 トップページについては、サイトを閲覧して最初からチャットボットが立ち上がるのではなく、数秒してもお客さまに動きがない場合にチャットボットが立ち上がる仕様になっています。まずサイト全体を見ていただくためにチャットボットはあえて出さず、サイト上で立ち止まっているお客さまにだけチャットボットでサポートすることを考えました。

―どのようにBEDORE Conversationにインテントやシナリオを実装しましたか。
※対話エンジンに学習させる質問と回答のセット

佐藤様 Web上のFAQページにある700~800の問と回答をすべて搭載しました。その中で、とくに強化したいシナリオやインテントについては随時加えています。インテントについては、会員登録やログイン方法、配送料などすべてのお客さまに共通する内容について優先的に強化していきました。

企業ごとにシナリオを切り分け、回答を出し分ける部分はとくに工夫した部分です。企業によって回答の分量や質、言葉づかいなどにバラつきが出ないよう、均一に丁寧な対応をすることを心がけました。

企業ごとのシナリオ切り分けについては、例えば「配送料」と入力された場合、配送料に関するシナリオが発動し、企業一覧を表示させます。お客さまに該当の店舗を選んでいただき、その店舗の配送料を表示するようにしています。

―グループ会社にはBEDORE Conversationの導入をどのように説明しましたか。

佐藤様 一度、各社にお集まりいただき、導入の経緯やどのように運用するか、お客さまへのご案内の仕方、各社との連携方法などについてご説明させていただく機会を設けました。その際、24時間お客さまに対応できること、とくに購入量が増える夜間の対応も可能になるため、売り上げに貢献できるという点をお話しました。

お客さまとの信頼関係構築と問い合わせ数平準化に成功

―導入後、どのような成果が現れましたか。

佐藤様 カスタマーセンターに寄せられる全問い合わせのうち、チャットボットへの問い合わせが占める割合(カバー率)を指標化し、4割になることを目指して運用しております。現在は3割ほどに落ち着いています。

当初はメールや電話の問い合わせが減ればいいなと思っていたのですが、結果的にメール・電話にチャットボットを加えたお問い合わせ総数は増えています。しかし、これはネガティブなことだとは捉えていません。

チャットボットを導入することのメリットは、呼量をコントロールすること以上に、お客さまにとってお問い合わせ窓口が新しく増えることにあります。これまで問い合わせをしようとすら思わなかったお客さまが、新たなお声を寄せてくださるようになり、オムニ7からの離脱を防ぐことができるようになりました。

カスタマーセンターの営業時間外でも24時間、365日お客さまの質問にお応えできるようになりましたし、急な問い合わせの増加にも対応できています。こうしたひとつひとつの対応が、お客さまとの信頼関係構築に寄与しており、売上にも貢献していると感じています。

荒木様 チャットボットとの対話後の「役に立ちましたか?」という質問に「はい」と答えていただいた割合をお役立ち率としてKPI化し、60%を目標に運用しています。導入から改善を続け、多少の前後はありますが、良い月は60%を超えるようになっています。

―特にどのような場面で対話エンジンの効果を感じますか?

荒木様 当社ではアイドルグループのDVDやCD、コンサートチケットなどの商品を扱うことがあるのですが、事前に発売日を予測するのがなかなか難しいんです。昨年、新型ゲーム機が発売になったときも同様でした。私たちもお客さまも、発売直前まで全容がわからない状態です。そして発売日が発表された途端、多くのお客さまからお問い合わせが殺到してしまうのです。

しかし、BEDORE Conversation導入後は、予約方法や販売ルールをチャットボットに即座に反映することで、本来カスタマーセンターに電話やメールとして入ってくるお問い合わせの一定割合を自動応答化することができています。災害時やコロナ禍も含め、お問い合わせの平準化に役立っています。

―今後の展望は?

佐藤様 お役立ち率が低いインテントは、回答に文字だけでなく画像も用いて理解しやすくするなど、さらにお客さまに役立てていけるようチューニングを進めていきたいですね。それから、チャットボットだけでなく、テキストマイニングや音声ボットを活用して、拾い切れていないお客さまの声も拾っていきたいですね。