第一生命保険株式会社

デジタルトランスフォーメーション推進の一手としてPKSHA Chatbotの対話エンジンツールを導入

導入サービス PKSHA Chatbot
業種 保険
活用対象 一般ユーザー、社員、オペレーター
導入目的 照会業務の削減、24時間365日対応、業務効率化
第一生命保険株式会社

第一生命保険株式会社 事務企画部 岩元様
SCSKサービスウェア株式会社 新谷様

第一生命保険株式会社の事業内容

第一生命保険株式会社の事業内容

第一生命保険株式会社 事務企画部 課長 岩元 慎弥様 / 個人保険に関する事務手続きにおけるテクノロジーを活用した生産性向上・業務効率化等の推進を担当。

岩元様 第一生命保険株式会社は国内外にグループ会社をもつ生命保険会社です。

主な業務は、国内生命保険事業、海外生命保険事業、資産運用・アセットマネジメント事業になります。私が所属している事務企画部では、主に個人保険に関する事務手続きの企画開発などを行っています。新規の契約や名義の変更、給付金のお支払いなどといった、個人保険において必要となる事務手続きの仕組みやシステム開発等を統括している部署です。

SCSKサービスウェア株式会社の事業内容

SCSKサービスウェア株式会社の事業内容

SCSKサービスウェア 第一事業本部第二事業部 新谷 秀一様 / 第一生命様にて、チャットボット運用チームの統括スーパーバイザーとして、 コンテンツの管理(進捗管理・作成)、精度向上のためのチューニング、 およびログの集計・分析を担当。

新谷様 SCSKサービスウェア株式会社はSCSK株式会社を親会社にもつ、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業を行う企業です。企業からの委託を受け、金融機関をはじめとした様々な業種のコールセンターやバックオフィスなどの業務を行っています。

私は現在、第一生命保険株式会社様の対話エンジン事業において、新規のコンテンツの作成や登録されたログの振り分け作業などの業務を担当しています。

コロナ禍における両社の取り組みとは?

コロナ禍における両社の取り組みとは?

日本のみならず、世界中を混乱に陥れたコロナ禍。社会情勢は大きく変化し、多くの企業が業務のあり方や働き方の見直しを迫られました。そのような状況の中、第一生命保険株式会社、SCSKサービスウェア株式会社では、具体的にどのような取り組みを行っていたのでしょうか。

第一生命保険株式会社の取り組み

岩元様 以前からリモートワークの取り組みを進めていましたが、コロナ禍においては、感染防止・ソーシャルディスタンスの確保等に向けた出社抑制も実施し、約5割程度の出社率に抑えていました。
また、営業職員においては、お客さまへの対面営業の抑制等も実施していましたが、営業オフィスへの出社抑制も実施していたため、お客さまからの質問に対して営業オフィスの事務担当者等に照会することが難しく、対話エンジンの活用が推進されました。

その結果、緊急事態宣言前と比較し、約3~6倍近くの照会件数となりました。

コロナ禍で新たに見えてきた営業の可能性

岩元様 コロナによる出社抑制が実施される中で、最も影響を受けたのは、営業オフィスなどの現場、特に紙などの現物が必要な業務でした。出社やお客様との対面での接触が制限されていたので、なかなか事務作業ができない場面もありました。

生命保険はコンサルティング要素の強い商品です。そのため、今後もお客さまへのご説明等の場は必要となりますので、スマホやWebの活用など、非対面で手続きできる仕組みの整備をさらに加速して進めていく必要があると考えています。

SCSKサービスウェア株式会社の取り組み

新谷様 SCSKサービスウェア株式会社では、約3年前からリモートワークの準備を進めてきました。BPOという会社の事業柄、日本各地の拠点で業務を行うノウハウがあったため、在宅勤務への移行は比較的スムーズでした。

現在は、密な状態にならないよう、できるかぎり在宅勤務することを推奨していることから、本社の出社率は50%前後です。席や会議室でもソーシャルディスタンスを意識しながら業務にあたるよう心がけています。

また、当社では、コロナ禍以前から、強固なセキュリティを敷いていました。今回テレワークへの移行にあたり、情報の管理など社員への意識づけをさらに強化することで、セキュリティにおける課題へうまく対応ができたと思っています。

PKSHA Chatbot導入前の課題:既存のFAQツール等の活用率が低い

岩元様 照会業務削減のためのツールは、一般的なFAQなど複数用意していました。しかし、検索が難しい、目的の回答までなかなかたどり着けないなどの点から活用率が低く、結果、照会の業務量が減らないことが課題でした。

また、当社は全国に約1,500の営業拠点を持っていますが、オフィスに事務職員が1名というケースもあり、他の業務が逼迫している場合等においては、迅速に照会に対応できないという問題もありました。

加えて、生命保険の事務では、同じ1つの質問でも、法人か個人か、日本人か外国人か、未成年かなど、条件によってさまざまに分岐し、最終的な回答が異なります。

そのため、回答に含まれるキーワードを理解していなければ上手く探せないという問題もあり、また、回答の中に「・・・の場合は、・・・の場合は」のように場合分けを記載していると、誤読しやすく、また回答が長いため読まなくなるという問題もありました。これを解決するためには、必要な条件を聞き返して、確実に正解へと導くツールが必要でした。

対話エンジン導入のきっかけ

岩元様 こういった課題を解決するために検討に挙がったのが、対話エンジンでした。導入への大きな要因となったのは、対話エンジンのインターフェイスです。会話をするように進められる対話エンジンのインターフェイスが、営業職員と事務職員の関係性に近く、親しみやすいのでは?と考えたのがきっかけです。

また、従来のFAQとは違い、必要に応じて対話エンジンが必要な条件について聞き返し、最終的な回答までナビゲートしてくれる仕様にも魅力を感じました。

重視したのはサービスの柔軟性と操作性

PKSHA Chatbot導入前の課題:既存のFAQツール等の活用率が低い

岩元様 対話エンジンツールを選定する際に、重視していたポイントは2点です。

まず1点目は、柔軟性です。頻繁に起きる事務改訂や法令による改訂にも素早く対応できる点や、膨大な分岐をもつコンテンツでも追加修正が容易にできる点を重要視していました。

2点目は操作性です。SEなどの専門職でなくても、追加修正など誰でも扱えるシステムが必要だと感じていました。

他社ではなくPKSHA Chatbotを選んだ理由とは?

岩元様 柔軟性、操作性を満たすツールは他社にもありましたが、最終的にPKSHA Chatbotを選んだ決め手は学習精度の高さです。導入前にテストを行った際、少ない学習データの段階から精度が高く上がったのがPKSHA Chatbotでした。

他にテストを行った他社のツールと比べても学習初期の時点でPKSHA Chatbotの学習精度は、10〜20%程高いのが印象的でした。

これまでのエンジンには、多くのことを学習させないと機能しない、学習内容を用意するのが大変、修正があった際などに再学習させるのにも手がかかるイメージを持っていてしました。

しかし、PKSHA Chatbotを実際に使うことでそのイメージは一変しました。PKSHA Chatbotは日本語学習に強く、少ないデータでも高い精度を発揮するため、従来より運用の負荷が減ることがわかりました。

コンテンツ管理をSCSKサービスウェア株式会社に委託した理由と効果

岩元様 対話エンジン導入にあたり、負担をより減らすため、コンテンツの作成や改修などの業務を社外へ委託したいと考えていました。

そこで候補に上がったのが、事務手続きのBPOなども任せており、マニュアル化やコンテンツ作りに強いSCSKサービスウェア株式会社でした。

対話エンジンに追加すべきコンテンツの分析や起案、作成、改修や登録といった一連の流れをSCSKサービスウェア株式会社と一緒に行うことで、実際に業務を担当する所管の負荷が大幅に減りました。

PKSHA Chatbot導入準備からリリースまで

PKSHA Chatbot導入準備からリリースまで

PKSHA Chatbot導入の決定から実際のリリースまではどのような流れで進んでいったのでしょうか。

第一生命保険株式会社、SCSKサービスウェア株式会社の社内体制、導入までのスケジュール、両社が導入時に苦労したポイントなどをご紹介します。

PKSHA Chatbot導入時の体制

岩元様 私の所属する事務企画部が中心となり、事務手続きを所管する部署から担当者を選出することで体制を整えました。

新谷様 2018年4月のスタート時には私ともう1名の担当者で事前調査等の準備作業を担当しました。
その後、徐々にメンバーを増員し、10名体制でコンテンツ作りから着手しました。

導入までのスケジュール

岩元様 2018年4月にプロジェクトスタートし、コンテンツを50%程度作った同年の10月に、一部オフィスにてトライアル運用を行いました。当初2019年9月までにコンテンツ作成率を100%にするという目標を掲げており、そこに向かってコンテンツの作成を進めていました。

トライアルを進めていく中で、現場から早く使いたいという要望が多く寄せられたため、当初の予定を前倒しし、2020年3月末に対話エンジンを全国リリースしました。

導入時に苦労した点とは?〜第一生命保険株式会社〜

岩元様 従来のFAQが活用されていなかったことから、対話エンジンに対しても自分で調べても解決しない、必要ないという認識を持っていた人が社内に多数いました。そういう人に対して、FAQと対話エンジンの違いや、対話エンジンの特徴や仕組みを丁寧に伝え、合意を得ていく作業にはとても苦労しました。

また、運用にあたっては、一般的な用語の他に、業界特有の専門用語や社内で使われる用語などを一定学習させる必要がありました。

コンテンツをある程度作った段階でトライアルを行い、想定外の質問や専門用語があれば、都度学習を行うといった作業を繰り返すことで、対話エンジンの精度向上に努めました。

期待値を超えないと使われない

岩元様 これまでの経験から、社員の期待を上回るコンテンツを作成しなければ、継続的に使われるツールにはならないと感じていました。そのため、プロジェクト開始当初から、照会に係るコンテンツを網羅的に作りたいと考えていました。

幅広い内容をカバーするためには、相当数のコンテンツを作り上げる必要があるので、やはりそこが最も苦労したポイントですね。

導入時に苦労した点とは?〜SCSKサービスウェア株式会社〜

新谷様 プロジェクトスタート当初、実は私をはじめ、メンバーの生命保険の知識はほぼゼロの状態でした。マニュアルを読み理解するところから、実際にコンテンツ作成を行うまで知識を定着させるのには大変苦労しました。

また、テキストだけでは説明しきれない場合は画像を用意しているのですが、タブレット端末で見ることを考慮し画像自体の大きさやフォントサイズ、色などにもこだわり、対話エンジンを利用するデバイスに最適化した画像を作成しています。

また、プロジェクト期間中、第一生命保険会社様の営業職員が所持する端末の刷新がありました。 画像がほぼ差し替えになったり、サイズや色の変更も行う必要がありました。システムの切り替わる日もすでに決まっており、タイトなスケジュールでしたが無事にリリースを実現することができました。

PKSHA Chatbot導入後の効果

PKSHA Chatbot導入後の効果

実際にPKSHA Chatbotの対話エンジンを導入した結果、どのような効果が得られたのでしょうか。コロナの前後で状況が大きく変わったため、コロナ禍以前に得られていた効果と、コロナ禍で感じられた効果に分けてご紹介します。

定量的な効果

対話エンジンの利用率上昇

岩元様 対話エンジン導入と並行して、各オフィスで行われていた照会業務を本社のスマートセンターと呼ばれる受電組織に集約したり、事務手続きをデジタル化する等の取り組みを行いました。結果、スマートセンターでの受電件数と対話エンジンでの自動応答件数の合計に対して、約25%が対話エンジンでの自動応答となっています。

スマートセンターについては、単純に本社に照会を集約すると約700名ほど必要となるため、お手続きのデジタル化や、対話エンジン等の取り組みを実施することで、200名程度とする計画で進めていますが、想定通りに進められる見込みです。

正答率は90%に

岩元様 網羅的にコンテンツの拡充を進め、不足コンテンツの解消を徹底的に行った結果、対話エンジンに登録しているナレッジは4500を超えています。事務手続きの照会においては、正答率は80%後半から90%程度と高い精度を維持しています。

定性的な効果

些細なことでも気軽に聞ける

岩元様 対話エンジンを導入したことで、現場の営業職員からは、些細なことや、人にわざわざ聞きづらいことでも気軽に質問できるという好意的な意見が上がってきました。事務職員のいない夜間や土日などの時間外でもすぐに欲しい回答が得られる点も好評です。

事務職員の負担軽減

岩元様 対話エンジンやスマートセンターの設置により、事務職員が照会業務に対応するケースが減りました。事務職員からも、営業職員に質問をされる機会が減って負担が減った、助かっているという声が寄せられています。

想定していなかった効果も?

岩元様 従来のマニュアルと違い、対話エンジンでは分岐をくだっていくことで知識の理解を深められます。 そのため、当初は想定していなかった対話エンジンを学習用として利用するというケースもみられました。

定性的な効果

コロナ禍ではどうだった?

利用件数は月間20万件、1日に約1万件の問い合わせを受ける仕組みに!

岩元様 コロナ禍により、当社でも現場での出社抑制、本社スマートセンターの縮退などの対応を迫られました。そのような状況下において、対話エンジン利用件数は、想定していた件数を遥かに上回り、月間20万件の問い合わせを自動応答している状況です。現場に人がいない、受電組織も動いていない状況でも、照会に柔軟に対応できるツールが確立できたことは、大きな意義があったと思っています。

対話エンジンに対する不満や改善点も顕在化した

岩元様 コロナにより対話エンジン利用数が飛躍的に上昇した結果、誤答も増えました。誤答が増えた要因は、コロナによる特別対応等に対する照会が多数あり、コンテンツを順次追加するも、ある程度時間がかかった点と、個人保険事務以外の照会もたくさんあったためです。

現場が必要としているコンテンツについて理解を深められたため、現在関連所管と追加に向けた対応を実施しています。

対話エンジンの領域拡大やRPAとの連動も視野に

対話エンジンの領域拡大やRPAとの連動も視野に

株式会社PKSHA Communication カスタマーサクセスチーム 遠藤 功一郎 / 第一生命保険様を中心に大企業規模のカスタマーサクセスを数十社担当。

最後に、第一生命保険株式会社がPKSHA Chatbotを活用して今後の取り組みたいことや対話エンジンチーム、PKSHA Chatbotに期待することについて伺いました。

PKSHA Chatbotを活用して今後取り組みたいこと

岩元様 営業職員向け、本社等の内勤職員向け、お客様向けと対話エンジンの領域はどんどん拡大していきます。

今後は第一生命の保険商品を扱う代理店向けの対話エンジンの検討や、対話エンジンとRPAを組み合わせた、事務手続きの自動化も実施していく予定です。

対話エンジンチームに期待すること

岩元様 対話エンジンチームに一番期待することは、リピート率をあげていくことです。リピート率は何もしなければ下がっていき、一回飽きられてしまえばそのツールは使われなくなってしまうものです。だからこそ、時流を捉えたコンテンツを継続的に追加し、メンテナンスをしっかり行うことで鮮度を維持していくことが大切だと思っています。

また、利用する職員から愛されるツールにするために、雑談への返答など遊び要素のあるコンテンツを追加したり、アイコンや表現の工夫をしたりなど、細部にもこだわりを持つことも重要ですね。

PKSHA Chatbotに期待すること

岩元様 PKSHA Chatbotの満足度は現状でも非常に高いです。今後も現在のような操作性と、柔軟な機能を維持し続けてもらうことが第一の要望です。

また、現場職員から音声入力に対する要望も高まっているので、業界の専門用語や社内用語などに対応した音声入力システムなど、サービスの拡充にも期待しています。

第一生命保険株式会社の今後の取り組み

岩元様 コロナ禍以前からデジタルトランスフォーメーションを推進しています。対話エンジンの導入はその一つです。その他にも、事務手続きを紙からスマートフォンやWebなどに切り替えていく取り組みも進めています。コロナ禍によりさらにその重要性が認識されたため、今後はよりスピードをあげて、デジタル化や非対面でできる手続きの仕組み作りを推進していく予定です。

SCSKサービスウェア株式会社の今後の取り組み

新谷様 コロナ禍で在宅勤務を行ったことにより、今まで取り組んできたBCPの重要性を改めて感じました。今後も自社のもつセンターと連動しながら、有事の際でもいかに事業を止めずに継続していくかに取り組んでいきたいです。

社名 第一生命保険株式会社
事業内容 国内生命保険事業、海外生命保険事業、資産運用・アセットマネジメント事業
設立 1902年9月15日
従業員数 52,384名(内勤職員10,914名、営業職員41,470名)(2022年3月末現在)
URL https://www.dai-ichi-life.co.jp/

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