株式会社バルクオム ― オペレーター稼働の9割以上を解約電話対応に集中、継続率が4倍に

株式会社バルクオム
Domestic SBU/Customer Success Division 上本 隆太氏

企業概要
〔業種〕化粧品
〔事業内容〕化粧品の企画、販売
〔導入サービス〕BEDORE Voice Conversation
〔導入目的〕定型的問い合わせの自動化、BCP対策

課題
・災害時やコロナ禍におけるコールセンターのBCP対策
・解約引き止めによるLTV向上

効果
・LTV向上に貢献しない定型的問い合わせを自動化
・オペレーターが解約希望顧客の「真のニーズ」を引き出し、契約継続に成功
・オペレーターの教育期間短縮やトークスキル向上にも貢献

男性のライフルタイルに新しい価値を提供するブランド

―御社の事業と、ビジョンについてお教え下さい。

「世界のメンズビューティをアップデートする」というビジョンを掲げ、「Global No.1 Brandをつくる」ことをミッションに、メンズスキンケアブランド「BULK HOMME」を展開しています。

化粧水、洗顔料、乳液といったフェイスケアアイテムから、ボディトリートメント、美容液マスク、ヘアケア製品まで、男性のトータルビューティをプロデュースしています。2020年5月からはテレビCMを放映し、好評を博しています。

―御社の強みやターゲット層は?

「THE BASIC MEN’S SKINCARE」をブランドコンセプトに高品質な製品づくりを強みとしています。

主なお客さまは20代~30代前半の男性が中心となっています。

より良いブランド体験を提供し、ロイヤルティを高めるコールセンター

―上本さんの現在のミッションは?

Domestic SBU/Customer Success Divisionのメンバーとして、業務委託先のコールセンターのマネジメント及びコール品質の向上を任されています。

このコールセンターには、購入後のお客さまから配送日の変更や解約、使い方を知りたいなどの目的でたくさんの問合せが寄せられます。入電の約7割が解約で、残りの2割ほどが配送日や配送サイクル(お届け頻度)の変更、定期コースのプラン変更といった定型的な内容です。そして残りの1割弱が肌に関する悩み相談や、商品の使い方・使用感に関するお問い合わせとなっています。

私自身は、コールセンターの運営のみならず、お客さまの購買データを分析し、LTV(ライフタイムバリュー/顧客生涯価値)を最大化することもミッションの一つとなっています。

―御社のコールセンターはどのような役割・位置づけを担っていますか。

当社ではメールマガジンや公式LINE、ECサイト、一部店頭などお客さまと様々な接点があります。その中でコールセンターはお客さまと当社のオペレーターが唯一かつ初めて直接コミュニケーションする場です。コールセンターの対応次第で当社に対するお客さまの印象は大きく変わり、お客さまのブランド体験を決定づけることになってしまいます。

これまでオンラインだけで解約を完結できる仕組みもありましたが、お客さまのご要望や解約の理由を直接お伺いするため、解約時こそオペレーターが電話でじっくりお話を聞くようにしています。そこで得られたお客さまのリアルな声を、製品開発やプロモーションにも生かしているのです。コールセンターはマーケティング活動における、CRMの重要なポジションの一つとなっています。

―どのようなコールセンターを理想としていますか。

受電までの待ち時間、声のトーン、コミュニケーションといったコールセンターにおける一つひとつの体験が、「BULK HOMME」のブランド体験としてお客さまの記憶に残ります。どのメンバーが対応しても、「家族や恋人のような親密さとあたたかさで、きめ細やかに応対する」ことを目指しています。

常にコールセンターの応対品質について改善を繰り返し、ロイヤルティを高めて、当社のより濃いファンになっていただきたいと考えています。

緊急時のBCP対策と定型業務の工数削減が急務に

―こうした理想を実現する上で、コールセンターにどのような課題を抱えていましたか。

2つの大きな課題を抱えていました。1つはBCP対策です。当社のコールセンターは比較的災害の影響を受けやすい地域にあるため、台風や豪雨災害の際にオペレーターの出勤率が下がってしまうことがありました。それに加えてコロナ禍では、出社するオペレーターの数を減らさなければならない場面も多々ありました。その頃はまだ、オペレーターに在宅で対応してもらうシステムを導入できていなかったため、オペレーターの稼働不足に陥ることがありました。

もう1つは、定型業務の工数削減です。配送日や配送サイクルの変更といった定型的な対応をAIによる自動応答に任せることができれば、解約をご検討中のお客さまとじっくりコミュニケーションを取ることができると感じていました。

―BEDORE Voice Conversationを知ったきっかけは?

5年ほど前、コールセンターカンファレンスへ行った際、AIによる自動応答ソリューションについて知る機会がありました。ただ当時は当社の規模も小さく、まだ必要ないという結論でした。2020年の4月か5月、事業拡大とコロナ禍が重なって自動化が急務となったタイミングで社内の別部署からBEDOREの紹介がありました。

―BEDORE Voice Conversation を導入しようと考えた一番の決め手は?

導入コンサルタントの方が、当社の課題感をすばやく理解し、すぐ導入できるよう提案してくださったからです。当時、私自身も日々の業務に忙殺され、AIによる自動応答シナリオをゼロから設計する余裕はありませんでした。

ところが、BEDOREの導入コンサルタントは、課題のヒアリング後すぐに自動応答が可能な業務を明確化。オペレーターが人力で対応すべきケースと、AIによる自動応答が向いているケースに業務を分解し、最適なシナリオやスクリプトを提案してくださいました。

これまでの知見を生かし、当社の課題について仮説を立てて解決策を提示する提案力と、初期段階で心強い協力体制を組んでいただけたことが、導入の一番の決め手となりました。

お客さまの行動・心理を分析し、コールセンター業務を分解

―どのようなプロセスでAIによる自動応答を導入していきましたか。

2020年7月から自動応答をスタートしました。最初は配送サイクル(お届け頻度)の変更対応から始めて対話の精度を高めた上で、配送日や定期コースのプラン変更へと拡大していきました。

開始した当初は、お問い合わせの電話番号が様々な場所に露出していたため、配送サイクルの変更用の電話番号に、配送日や住所、定期コースプランの変更など色々な問い合せが寄せられる状態になっていました。配送サイクル変更以外のシナリオには対応していないため、当然対話完結につながらず、お客さまの要望にも答えられません。

そこで、BEDOREの導入コンサルタントは、そもそもお客さまのご要望をどう分類して整理すればちゃんと対話を完結できるようになるのかを考え、改善案を提案してくれました。具体的には、配送サイクルの変更を希望するお客さまは、「商品を早く使い切ってしまったから早く届けてほしい」か、「まだ使い切っていないので、次の商品を遅らせたい」のどちらかに分岐することを突き止め、それぞれのご要望に合った別の電話番号と対話シナリオを用意し、さらに電話に至るFAQ動線の修正まで提案してくれました。

また、AIが自動応答する項目については「FAQ」ページ上に「受付時間:24時間(言語を理解するAIが対応します)」と付記し、お客さまが混乱しないような提案もしていただけました。

その後、定期コースの変更や配送日の変更といった新しい要件にも拡大し、定型的なお問い合わせの大半は自動音声対話で対応できる状態になりました。

解約のお問い合わせ対応比率が9割超、継続率が4倍に

―導入後、どのような成果が出ましたか。

コールセンターへの入電のうち、2割を占める配送関連の問い合わせの自動応答化に成功し、しかも75%を超える高い対話完結率を達成しています。

BCP対応という観点では、人でなければ対応できないコール以外はほぼすべて自動化が達成できている状態だと言えます。

自動応答を導入する前は、オペレーターが対応するお電話のうち解約関連のお問い合わせは60%台後半でしたが、導入から約5カ月たった2020年11月現在、解約のお客様に対する対応比率は95.2%へと大幅に上昇しています。

また、オペレーターが解約のお電話に集中して対応できるようになったため、お客さまのお悩みを十分聞くことができ、結果的にお悩みが解消して継続利用につながっています。導入前から比較すると継続率は4倍に跳ね上がりました。導入前はコロナなどの影響でコールセンターがちゃんと機能していなかったという側面はありますが、それを割り引いても大きな成果です。

オペレーター教育にも良い影響

―他に副次的な効果はありましたか。

もともとコールセンターで対応していたお問い合わせの範囲が広く、マニュアルが何冊にもおよび、オペレーターのトレーニングもかなりの時間を要していました。しかし、Voice Conversationによって90%以上のお問い合わせが解約関連に集約されたため、まずは解約対応のトレーニングさえ行えば現場に出られるようになりました。オペレーターの教育方法が変わったのです。

継続率の改善が目覚ましいせいか、オペレーターから継続促進のための施策の提案が上がってくるようになりました。AIを導入することで、こんな影響もあるんだと気付かされました。

もっと直接的な効果だと、コールセンターが閉じている時間にも自動受付できるので、オペレーターから「自動対応のおかげで、祝休日や営業時間外でも24時間365日、配送日変更などのお客さまのご要望にお答えできるようになった」と喜ぶ声が相次いでいます。

―自動応答による業務の効率化を実現させるために、どのようなことが重要だとお感じになりましたか。

商品購入後のお客さまがどのような困りごとに直面し、何を目的にコールセンターへお問い合わせくださるのかについて知ることです。

今回、導入コンサルタントがお客さまの行動・心理を細かく分析し、コールセンターの業務を分解してくださったおかげで、自動対応の音声内容を変えたり、「FAQ」ページを細かくチューニングしたりする工夫に繋がりました。こうした深い顧客理解が、高い対話完結率に繋がったのだと思います。

日々の業務で精一杯な私たちだけでは、お客さまがどのような困りごとに直面し、本当は何を求めてコールセンターに電話をかけてくださったのか、というお客さまの「真の課題」にはたどり着けなかったと思います。

―今後の展望は。

あらゆる対応をAIによる自動応答へ移行できたら良いですね。正直、これほどAIによる自動応答の精度が高いとは思ってもみませんでした。

今後は基幹システムと連携させて、配送関連の変更受付だけでなく変更手続きも完全自動化したり、自動化範囲を広げてコールセンターの席数を減らす代わりに解約受付を24時間365日対応にするなど、AIと人の役割をうまく融合させてお客さまの満足度を高めていきたいですね。AIを使って自分たちが楽をするのではなくて、関係者みんなが幸せになれるように活用していくのが重要だと思います。